イタリア語で「テルメ」と呼ばれる温泉。
火山国イタリアには、たくさんの温泉が湧き出ています。温泉プールやサウナなどスパが併設された宿泊施設も多く、レストランでは美味しい食事やワインも楽しめるためイタリア人にも人気のレジャースポットです。
イタリアワインの勉強のためにトスカーナ州に滞在していた際、モンスンマーノテルメに「とにかく凄い洞窟のサウナがある」と聞き、早速訪れてみることに。
飲める温泉としても有名な温泉地であるモンテカティーニから車で10分程、目的地に到着。入り口の門が開き、敷地内に入ると広い庭に佇む大きなお屋敷が見えて来ました。19世紀に建てられた邸宅「グロッタ・ジュスティ」は現在、ホテルとして営業しておりバカンスや、治療を目的にイタリア国内外から旅行者が訪れます。
建物の地下に直結している鍾乳洞窟は、200メートル以上にも及び、ヨーロッパ最大。専門の医療スタッフも勤務している本格的なスチームサウナです。
水着の上にホテルから貸し出されるバスローブとスリッパを身につけて早速天然スチームサウナへ向かいます。
入り口から地下へ進んでいくと、じわっとした空気と共に目の前に穏やかな光でライトアップされた美しい鍾乳洞窟にたどり着きました。洞窟内はとても静かで、水の滴る音と自分たちの足音だけがしんとした洞内に響き渡ります。
一千年前から存在すると言われる洞窟の中の気温は年間31~34℃に保たれ、湿度は100%と日本のサウナに比べるとそんなに暑くないので長時間くつろぐことができます。
鍾乳洞の中は同じ地球上とは思えないような別世界が広がり、冒険家になった気分で奥へと進んでいくと、少し広めの空間に横になれる椅子が並べられていて、10人弱の方々が静かに洞窟浴をしていました。
人がいるとは思えないほどの静けさだったので、驚きながらも椅子に横になってみると極楽の世界へ。アイーダで有名な作曲家ジュゼッペ・ヴェルディもよくこの洞窟へ訪れたのだそう。
洞窟内は天国、煉獄、地獄の3つのエリアに分かれていて、地下に行くほど温度が上がり、温泉プールのある最下層「地獄」エリアが一番高い36℃。「天国」エリアでは、洞窟と直結しているホテルの泥のトリートメントやマッサージなどが受けられます。
初めは少しぬるいなと感じましたが、50分間の洞窟浴の後はすっかり汗をかき全身ポカポカに温まっていました。体内の毒素を流し出し、全身に浴びた水蒸気でお肌もツルツル。まるで自然の一部に溶け込んだような究極の癒しを味わった後は、ホテル併設のレストランにてトスカーナの美味しいワインとヘルシーな食事をいただきます。
「洞窟で聞こえた音楽は素敵だったね。」と一緒にいた主人に話すと「音楽なんて流れてた?」との返答が。
今でもそこにスピーカーがあったのかは、はっきり覚えていませんが、ジュゼッペ・ヴェルディが洞窟の中で聞いたかもしれない幻の音楽が、私にも聞こえていたかもと思うとやっぱり幻聴ということにしておきたいな、と思うのでした。
Grotta Giusti(グロッタ・ジュスティ)
Via Grotta Giusti 141151015 Monsummano Terme (PT)
Tel. +39 0572 90771
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