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LIFESTYLE

女性を褒めること、それはイタリア男の礼儀|ヤマザキマリさんのイタリアエッセー

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イタリアという国において、言葉と態度で愛情表現をできない男性は、好きな女性を射止めることは難しいと言えるでしょう。日本のように言葉にしなくても相手に思いは伝わる、なんていう考え方は、私の知る限りあの国民たちにはほぼ通じません。

 

以前、日本人の奥さんをもらったイタリアの男性が、自分はイタリアではなかなか『愛している』と口にできなくて、それで何度も失恋してきたけど、日本女性にはその必要がないから気楽だし、消極的な自分の性格にも合う、と言っていたことがあります。

 

 

私がイタリアに暮らし始めた35年前と比べたら、現代のイタリア男性も随分クールになりました。街中を歩く女性を後ろからついていって冷やかしたり、目が合うと条件反射的にウィンクをするといった大胆な行動に出る人はめっきり少なくなりましたが、それでも他の欧州諸国に比べると、男性達は常に目線のどこかで女性の姿を捉えている傾向があります。

 

とあるモテ男の部類の友人に言わせると、女性は古代の時代から女神と同様に崇めるべき存在であり、美しいものとして賞讃しなければならないのだそうで、見つめるのは男としての“礼儀”なのだそうです。

 

 

そんな男性たちの視線や、自分を褒める言葉を受け止めながら女性達も自分を磨くわけですが、恋愛が成就し、結婚をして家族という関係になっても、子供が生まれても、年を取って皺だらけになっても、夫は妻にいつでも愛の言葉を告げ続けていかねばなりません。

 

それを怠ると女性はたちまち不安になり、夫をいぶかり、大喧嘩にもなり兼ねないからです。イタリアにおける男女関係は、そういう側面で捉えても、おそらく日本のカップルよりもずっとエネルギッシュだと言えるでしょう。

 

でも、その旺盛な愛情表現のあり方が、彼らの人生を彩り深くしているのも確かなのです。

 

11月のエッセーはこちら>

12月のエッセーはこちら>

PROFILE
ヤマザキマリ(漫画家・随筆家)

1967年東京都出身。17歳で絵画の勉強のためイタリアに渡り、国立フィレンツェ・アカデミア美術学院で、油絵と美術史を専攻。‘97年漫画家デビュー。『テルマエ・ロマエ』で第3回マンガ大賞、第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。著書に『国境のない生き方』(小学館)、『男性論』(文春新書)『スティーブ・ジョブズ』(講談社)『プリニウス』(とり・みきと共作 新潮社)など多数。シリア、ポルトガル、米国を経て現在はイタリア在住。平成27年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞。平成29年イタリア共和国星勲章コメンダトーレ綬章。

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