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FOOD

これがイタリアパン!? 南チロル料理専門店・三輪亭の自家製パンがおもしろい!|池田浩明のイタリアパンラボ【第6回】

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これがイタリアパンなのか? 運ばれてきた盛り合わせは、黒くてハードなドイツパンのようなものばかり。とりわけ、底には、平べったいクラコットの様なものが入っている。このパンはいったいなんなんだろう?

 

 

 

世田谷・豪徳寺にある三輪亭は日本で珍しい南チロル料理の専門店。三ツ星レストランの修行に飽き足らなかった三輪学シェフは、「マンマの味、郷土料理を見たくて」、南チロルのレストランに勤めた。

 

 

 

三輪シェフはなんでも自分で作る。料理だけではなく、ハムやソーセージ、そしてパンも。南チロルの食卓で食べられてきた郷土料理を、舌の記憶を頼りに再現。ハムもパンもたくさんの種類がどーんと盛られて出てくる。それも、南チロルのレストランで出てきたままをやろうとしているからだ。

 

「南チロルでは8種類、9種類のパンが出てきます。残してもいいし、持って帰ることができる。南チロルのままを体感していただきたくて。それにはよそから買うのではなく、自分で作らないと原価が上がっちゃう。でも、僕は作るのが好きなので」

 

 

 

ドイツ、オーストリア、ハンガリーの影響を色濃く受けた南チロル。中世にドイツからやってきた修道僧が伝えたといわれる、サワー種(ドイツパンに欠かせないライ麦から起こす種。日持ちがする)を使ったパンが作られる。よく使われる材料はライ麦、スペルト小麦(小麦の原生種)、香辛料。

 

 

 

たとえば、南チロル三大ご当地パンのひとつ、パールルはコリアンダー入りのパン。みっちりとした噛みごたえが印象的。ハムやパテといっしょに食べたとき、コリアンダーの風味が好ましい変化を連れてきてくれる。

 

 

 

冒頭で紹介したクラコットの様な平べったいパンはシュッテルブロート。かりっと砕け、粉の香りが口の中で舞いあがる。と同時に、キャラウェイがすーすーと清涼感を運んでくる。低温でじっくりと焼いて水分を飛ばすと、こんなラスクのようなかりかりのパンになる。スープに浸けてふやかして食べたりするのだという。

 

「南チロルでシュッテルブロートは年に2回しか焼きません。寒いので発酵しにくいから、あたたかい時期にまとめて焼いてしまうのかもしれません」

 

アルプスに臨む山岳地帯にある南チロルはとても寒い場所。冬は雪に閉ざされるため、日持ちのするパンやハムが求められたのだろう。所変われば品変わる。気候や材料など環境に応じて、私たちが想像もしないようなものが生まれる。それがパンや料理のおもしろさだ。

 

【これまでの連載はこちら】

 

 


 

三輪亭

営業時間

ランチ 11:30~14:00(L.O.)CLOSE 平日15:00 土日祝日15:30

ディナー 18:00~21:00(L.O.) CLOSE 23:00

水曜休(祝日の場合は木曜休)

東京都世田谷区豪徳寺1-13-15 ツノダ第1ビル1F

TEL. 03-3428-0522

http://www.miwatei.com

 

PROFILE
池田浩明 _ Hiroaki Ikeda

パンラボ主宰、ブレッドギーク(パンおたく)。東においしいパン屋あると聞けば行ってパンを食べ、西にすごいパン職人がいると聞けばその声に耳を傾け、南に偉大な小麦農家ありと聞けば、土を掘り返し、小麦をむしゃむしゃ頬張る。著書『サッカロマイセスセレビシエ』、『食パンをもっとおいしくする99の魔法』、『空想サンドウィッチュリー』、『パンの漫画2 さすらいのクロックムッシュ氏』、編著に『パンの雑誌』(すべてガイドワークス刊)、『おかしなパン』(誠文堂新光社)、『日本全国 このパンがすごい!』(朝日新聞出版)、『パンソロジー』(平凡社)。

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