発見マガジン あがるイタリア AGARU ITALIA

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FOOD

イタリアで味わった食の感動を伝えたい。アンティキ・サポーリ 山崎大輔シェフ

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イタリアをブーツに見立てた場合に、かかと部分に位置するプーリア州の名店〈アンティキ サポーリ〉。現地そのままの料理と雰囲気を再現し、2013年に開店した東京・広尾の〈アンティキ・サポーリ〉の山崎大輔シェフに、まだ日本ではなじみの薄いプーリア料理についてお聞きしました。

 

どんどん出てくる前菜。それがプーリア流のおもてなし

 

プーリア料理って、あまり聞き慣れないのですが……?

 

プーリア州は山、平野、海と、イタリアの中でも幅広い自然環境に恵まれた場所で、全体的には魚介の料理が多い印象ですが、私が働いていたプーリアの〈アンティキ サポーリ〉は山側にあったのでチーズだったりお肉だったり、あとは野菜をメインに使っていました。なにしろキッチンの中に魚介を入れることが禁止されていましたから。

 

 

そんな極端な!

 

広尾のお店では、魚介もちょっとは使いますよ。アサリのパスタや、前菜の揚げ物とか。僕自身、プーリア中を食べ歩いてきたので、本店のレシピにプラスしてお出ししています。ただ100%プーリア料理で、他の州の料理は出さないというこだわりはあります。

 

 

なんと言っても品数が多いですよね。

 

そうですね。プーリアってもともと貧しい州だったんです。けれども、おもてなしの心が強いから、前菜だけで15品ぐらい出しちゃうんです。それでお腹いっぱいにさせるという。広尾のお店では多すぎてもクレームになるので8品ぐらいに抑えていますが。

 

 

料理するのも大変そうです。

 

大変ですが、プーリアでは一般家庭でも品数が多いですしね。結婚式なんかだと、1日がかり、すごいときは2日とか食べ続けるんですよ! 作る方もよばれる方もツライです(笑)。

 


イタリアのいちばんおいしい店で働きたかった

 

山崎シェフがプーリア料理に惹かれたきっかけは?

 

若いころにヴェネツィアで修業して、帰国後に銀座でヴェネツィア料理店の料理長をやっていました。

 

2011年に在日イタリア商工会議所主催のイタリア料理コンクールで優勝し、イタリアへの往復航空チケットをいただいたんです。北イタリアでしか働いたことがなかったんで、南イタリアをずーっと食べ歩きました。それでいちばんおいしいところで働きたいなぁと。だから行くときにはシチリア料理をやるのか、カラブリア料理をやるのか分からなかったのですが。

 

 

イタリアの北部と南部ではいろいろ違いそうですね。

 

食材の扱い方も、料理の工程も、人柄も、まったく違います。人柄は南の方がフレンドリーで、肌に合いますね。

 

 

その南部で最高のお店が〈アンティキ サポーリ〉だったと。

 

はい。感動して働きたいと思ったのですが、じつは最初は断られていました。でも〈アンティキ サポーリ〉でしか働きたくなくて、3回目ぐらいの訪問で「もういいよ、働け」と。しつこいから、もうって(笑)。

 

 

働きたくなるほど感動した理由は?

 

野菜中心で身体にしっくりくるんです。食べていておなか一杯にはなるんですが、心地良くて食べ疲れない。それがプーリア料理ですね。

 

 

滋味あふれるといった感じですね。

 

そんな印象です。料理に対してヘタに手を加えすぎない、素材を大事にするということが魅力的でした。

 

 

〈アンティキ サポーリ〉はどんなところにあるんですか?

 

訪れるのにはかなり苦労します。田舎すぎて、近くの街にもタクシーがいないんです。バスも1日2本ぐらいしかありませんから、1本目で行って食べて、2本目で帰る人も多いですよ。

 

 

それでも世界中から人が来るようです。

 

そこがすごいところですよね。昼も夜もずっと満席で。

 

 

派手な料理ではないんですよね?

 

ぜんぜん!郷土料理、地方料理ですね。野菜やチーズを大事にしていて、小さいころお母さんが作ってくれた料理をメニューにしています。シェフ自身、自分は農家だと言っていて。お店の隣に自分たちの畑があり、朝の収穫から料理までがセットになっています。

 

僕が料理長を務める〈アンティキ・サポーリ〉がある広尾で畑を持つことはできないですが、プーリアから取り寄せた種から、さまざまな契約農家にプーリアと同じ種類の野菜を作ってもらっています。日本にも似たような野菜はありますが、それだとイタリア人はよろこんでくれないと思うので。

 

 

目指すのは、イタリア人が故郷に帰った気分になれる店

 

イタリア人によろこんで欲しい?

 

僕がお店でスタッフに話していることは、「イタリア人が食べて実家に帰ったような気持ちになる料理を作ろう」ということです。

 

初めてイタリア現地に行って食べたときに、日本のイタリア料理は違うんじゃないかって。もちろん日本のイタリア料理もおいしいんですけど。

 

 

日本人が海外で和食を食べるような?

 

そのとおりです。日本のイタリア料理じゃ、イタリア人はよろこばないんじゃないかなと。

 

だから僕らは日本人向けにアレンジした料理は作っていません。イタリア人が食べて、イタリアに帰らなくてもいいやって思えるような本物の郷土料理を目指しています。

 

うれしいことにイタリア人のお客さまがすごく多くて。たまに外国の方しかいないときもあるほどです。

 

 

それは本物だと認められてるってことですからね。

 

プーリアの〈アンティキ サポーリ〉の常連の方も来られたりと、非常にありがたいことです。日本にない食材は現地のシェフに頼んで送ってもらうなど、プーリアの味を再現するようにしていますので。

 

お店で出しているワインもすべてプーリア産です。現地で畑をまわって交渉し、自社輸入しています。おそらくこの店のリストのワインは、国内ではほかで飲めないと思います。

 

とにかく目に見えるものはすべてプーリア産にこだわっているんです。

 

 

目に見えるものとはどういうことですか?

 

石の床から天井、テーブルもクッションも照明も全部です。プーリアの〈アンティキ サポーリ〉を作った業者みんなに連絡し、同じものを集めて船に積んで日本で組み立てたんです。日本の設計士さんを現地に連れて行ってペンキの塗り方まで再現していますよ。

 

 

すごいですね!それ言わなければ気づかないですよね。

 

エアコンと電球だけは日本製ですが(笑)。現地の店内写真を見ていただければ、同じだと分かると思います。

 

 

味にも環境にも妥協なく突き詰めること。イタリア人から人気を集めるお店なのも納得です!

 


山崎シェフの看板料理その1「スフォルマート」

 

普通、前菜って冷菜からはじまると思うんです。プーリアの〈アンティキ サポーリ〉のスフォルマートって、1番最初に出てくるのに温かい料理なんですよ。真夏に行っても温かい料理が出てきてびっくりしましたね。最初に温かいものを食べることで胃を活発にするんです。広尾のお店でも前菜の1品目はこれをお出しして、食欲をかき立ててもらっています。

 

 

山崎シェフの看板料理その2「ナスのパルミジャーナ」

 

プーリアの家庭料理ですね。トマトソースとチーズとフリットしたナスを重ねてオーブンで焼いちゃいます。ナスはフリットすることでオイルが入っておいしくなるんです。

 

 

山崎シェフの料理の相棒「トロッコラトゥーロ」

 

トロッコリという、角型のロングパスタを作る道具です。木製のトロッコリは日本でもたまに見るんですが、真鍮製は見ないですね。イタリア料理の道具は日本では売っていないものも多く、イタリアに行ったときに買ってきたりします。美しいでしょ。宝物です。

 

 


 

伊勢丹新宿店「イタリア展」出店

□9月26日[火]〜10月1日[日] 最終日午後7時終了

□伊勢丹新宿店本館6階・7階=催物場、本館屋上=アイ・ガーデン

http://www.isetanguide.com/italia/

 

銀座三越「食のイタリアフェア」出店

□10月18日[水]〜23日[月] 最終日午後6時終了

□銀座三越7階=催物会場

 


 

取材協力:アンティキ・サポーリ

港区南麻布 5-2-40 日興パレス1F

TEL. 03-6277-2073

 

テキスト:AGARU ITALIA(あがるイタリア)編集部

PROFILE
山崎大輔 _ Yamazaki Daisuke

1976年生まれ。服部栄養専門学校卒業。ヴェネツィアやプーリア州の現地のレストランで働き、イタリアの郷土料理を学ぶ。2011年に在日イタリア商工会議所主催のイタリア料理コンクール「Gran concorso di cucina 2011」で優勝。ヴェネツィア料理の新宿〈イル・バーカロ〉、銀座〈バラババオ〉の料理長を経て、現在は広尾〈アンティキ・サポーリ〉の料理長、銀座〈バラババオ〉の総料理長を務める。日本イタリア料理協会シェフ会員。

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